自分は、大学で保育・幼稚園・小学校の教育について勉強し、小学校教員として10年以上勤務しました。また、幼児の双子の息子と乳児の娘の父になり、育休も取得し育児に関わっています。
一番病ってご存知ですか?一番にならなかったり、勝負に負けると泣いてしまい、次の行動ができなかったり、トラブルになったりすることをいいます。
自分が小学校の先生をしていた時にも、引き継ぎで、勝ち負けにこだわる子と聞いた子がいました。でも、自分が担任をしていると落ち着いて勝負を楽しんでくれていました。どうして上手くいったのか、振り返ってみると、心理学的に正しい対処をしていたのかなと思う点があったので、参考になればと思い記事にしてみます。
困っている方や自分の子への早めの対処に活用していただければ、嬉しく思います。
成長や努力に着目した声かけをして成長マインドセットに
一番病や負けると泣く子のマインドセットは、固定マインドセットになっていると考えられます。
成長マインドセットや固定マインドセットって何?
固定マインドセットとは、「人間の能力は先天的に決まっていて努力しても変わらない」という考え方です。 このマインドセットになると、一回の負けはその後の負けにもなるし、勝ち負けだけに価値を見出してしまいます。
この状態から
成長マインドセット「人間の能力は努力により成長する」という考え方に変われるようにしてあげることが大切です。このマインドセットになると、負けたとしても、学びや成長があるかに価値を見出すことができます。
このように成長マインドセットになることで、失敗や負けを受け入れ、成長につながることを探せるようになります。
この成長マインドセットについては、子どもへの最大のプレゼント!!成長マインドセット!【基礎編】子どもへの最大のプレゼント!!成長マインドセット【実践編】親や教師としてどうする?で詳しく書いています。
どうやったら成長マインドセットになる?
成長マインドセットに子どもを導くためには、声かけに気をつけてあげることが大切です。
結果に着目し、評価したりする声かけは、固定マインドセットになってしまいます。
逆に、過程や努力に着目する声かけにすると、成長マインドセットになっていきます。
具体的な声かけ
成功した時
- 〇〇を工夫していたね。
- 頑張って取り組んでいたからだね。
- できるようになったね。
失敗した時
- 惜しかったね。
- 〇〇はできていたね。
- 〇〇をしてみると今度はできるようになるかもよ。
これらのように、成長や努力に着目して声かけしていきましょう。
ありがとうをたくさん言って、自己肯定感を高めよう
一番病の子や負けると泣く子は、自己肯定感が下がっているのかもしれません。自己肯定感とは、自分が無条件にそこにいてもいいと感じているかどうかです。
例えば、勝ち負けで勝つことでしか、そこにいられない(いる価値がない)と思っていると、勝ち負けにこだわり過ぎてしまいます。負け=存在価値がなくなる、と感じてしまうのかもしれません。
この自己肯定感を高める方法として、親や教師ができることは、ありがとうを伝える機会を増やすことです。
この図はマズローの人間の5大欲求を表したものです。子どもに対して感謝を伝えることで、子どもは、相手の役に立てたや、頑張ってよかったという気持ちになります。この気持ちは、3段目の社会的欲求と4段目の承認欲求を満たすことができるようになります。それによって、自己肯定感が上がると考えられます。
具体的な声かけ
具体的な声かけとしては、ほめる代わりに、ありがとうを使うといいと思います。
例えば
- 急いで準備をしてくれてありがとう。(早く準備できてえらいね)
- 全部食べてくれてありがとう(全部食べられた、すごいね)
- 挨拶してくれて嬉しいな(いい挨拶だね)
このように、褒め言葉を使いたくなる時に、親や教師の気持ちや感謝の言葉を伝えられると、子どもの自己肯定感が高まり、その結果、勝ち負けの場面で負けたからと言って、存在を否定されたと感じなくてもよくなると思います。
気持ちのラベリング・受容
一番病の子や負けると泣く子は、自分の気持ちの整理が苦手なのかもしれません。
自分の気持ちの整理が苦手な子は、その時の気持ちがどのような気持ちなのか、ラベリング(名前付け)が苦手立ったりするかもしれません。
ラベリングってどういうこと?
他の場面でラベリングできていない状態を表すと、忙しくて何から手をつけたらいいか分からない状態です。こんな時って、テンパってしまって、無駄に時間を使ってしまうことってないですか?これは、気持ちのラベリングができていないから起こってしまうことです。
そんな時、何からするかを明確にして、取り組んでしまうと落ち着ける。ってことありませんか?これが、気持ちのラベリングができた状態になります。
このように、今自分がどんな気持ちなのか明確になると、それだけで落ち着くことができます。
どうやって気持ちのラベリングをする?
教師や親ができることが、相手の気持ちを察して伝えてあげることです。例えば、
- 負けて悔しいように見えるよ。
- 失敗して、悲しいのかな。
また、子どもがトラブルを起こした時にも子どもの気持ちを受け入れながら、行動を注意することも大切です。
- 殴ってしまうぐらい腹が立ったんだね。でも、殴ってしまったのはいけなかったね。
- 楽しかったんだね。でも、やり過ぎてしまったね。
このように、まず気持ちを受け入れることで、子どもの気持ちを否定することなく注意できるので、子どもにとっては、自分の気持ちを大切にしてもらうことになり、自己肯定感も上昇します。この、気持ちを受け入れることを受容と言います。詳しくは子育てや教育にも使える心理テク カウンセリングマインド受容!!を読んでください。
しんどい時には無理に関わらない
一番病の子や、負けて泣く子と関わるタイミングが重要です。
負けて泣きだしてからたくさん関わることはやめた方がいいと思います。泣くことによって、先生だったり、親だったりを占有できてしまうと、泣くことで得をすることになるんだ!と、誤った学習になっていまいます。これについては『ほめる』と子どもが変わる理由説明できます?で詳しく書いています。
負けて泣いている子には、
「落ち着いたら、一緒にしようね。それまで待っているよ。」
など子どもに待っていることを伝え、他の子たちを楽しくすることがいいと思います。泣いていた子が戻って来れたら、切り替えられたことを認め、迎えてあげましょう。
終わりに
今回の記事で書いた内容
- 成長や努力に着目した声かけをして成長マインドセットに
- ありがとうをたくさん言って、自己肯定感を高めよう
- 気持ちのラベリング・受容
- しんどい時には無理に関わらない
に取り組んでいってもらえたら、少しずつでも一番病が改善したり、対策になったりすると思います。
ただ、すぐに結果が出ないこともあると思いますが、親や教師の行動が変わっていくと徐々に良くなっていくと思うので、気長に取り組んでみてください。
最後に、自分は、大学で保育・幼稚園・小学校の教育について学習し、教員として困っていた時期に教育・子育て・心理学・脳科学等を勉強することで成長できました。
その時の内容や、今でも勉強している育児や教育に生かせそうな内容をブログやTwitterで発信しているので、フォロー等してくださると嬉しいです。
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